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15.真実を明かす(1)

溺愛に気づかない彼女は、つぶやきで世界を変える
この記事は約5分で読めます。

「いやいや、ないない」

セラフィナは首を横に何度も振った。

「顔がいいから一瞬騙されかけたけど、ルカヴィスが王子様とかあり得ないわ。だって『遊び人のルカ』よ、あなた?」

「……なんだって?」

「『遊び人のルカ』。どこかのマダムの紐って噂もある『遊び人のルカ』。それがあなた」

セラフィナの言葉に、ルカヴィスの眉間に皺が寄った。

「遊んでねえし、誰のヒモでもないけど……そう思っていたなら、よくそんな男を好きになったな」

ルカヴィスの指摘にセラフィナはハッとした。

言われてみればその通り、という表情だった。

「そうよ。いままでルカのこと『ない』と思っていたのに。それなのに、なんで『あり』なんて思ったんだろう。気の迷いかな?」

「それを俺に聞くのか?」

「他に聞く人がいないじゃない」

(そういう問題か?)

なんか違う気がするけれど、なにが違うのかをルカヴィスは説明する自信がなかった。

そして、どっと疲れがやっていた。

精神的に浮き沈みが激しかったのだから仕方がない。

ただ疲労度MAXのままルカヴィスの頭が叩き出した結論が――。

「よし、城にいくぞ」

「なんで?」

「俺の身分を証明してもらうんだよ」

セラフィナが胡散臭げな、至極迷惑そうな目をするような結論だった。

「お城の人って忙しいんでしょう? それなのに『俺、王子ですよね?』なんて言う酔っぱらいの戯言を聞くはめになるとか、税金泥棒にしても気の毒過ぎるんだけど」

「俺は第一王子なんだよ」

城で働く公務員が税金泥棒なら、彼らの世話になっている自分は大泥棒ではないか。

そんなことを考えつつルカヴィスは反論したが――。

「言えば言うほど胡散臭い」

(そう言われて、なんと言えと?)

セラフィナの言葉に口を封じられたため、らちが明かないとルカヴィスは思った。

「城にいくぞ」

「……仕方がないわね。叱られたら一緒に謝ってあげるわ」

御者込みで手配した貸し馬車に乗って二人は城に向かった。

城が近づくにつれてセラフィナの顔色がどんどん悪くなっていることにルカヴィスは気づいたものの、「言えば言うほど胡散臭い」と言われた以上は何も言えず黙っていた。

「王子を騙った不敬罪で処刑されるかも」

(大丈夫だって)

不安を解消する言葉くらいは口に出すべきだったのではとルカヴィスが思ったときには城へと渡る石橋の上で、セラフィナはルカヴィスが可愛そうになるくらい真っ白な顔色をしていた。

「処刑されたらどうしよう!」

「されない、されない」

「なんでそんなに能天気なのよ」

「俺は第一王子だから」

真実を言っているのにセラフィナは信じず、『まだ言い張るか』という目をしたセラフィナは神に祈るように両手を組んだ。

「悪いのはルカです。私が騎士様たちに叱られることはありませんように」

(いまで叱られないのは確実になったな……ついでに俺がこの一連の諸悪の根源に認定されたようだが)

石橋を渡り切ったところで二人が乗った馬車は止められた。

「どうして?」

「ここから先は城の馬車でしか行けないから」

「本当っぽいんだけど、まだ王子設定のままなの?」

「だから……「第一王子殿下?」……丁度良かった」

ルカヴィスに気づいて門番の騎士が敬礼をした。

そして波紋が広がるように、その場にいた騎士たちが続々と敬礼していく。

「馬車を頼む。送ってくれただけだ。料金も払ってある。丁重に街に帰してくれ」

「はっ」

騎士の一人がルカヴィスの命令に敬礼を返したが、ルカヴィスはセラフィナから顔を離さなかった。

「嘘……」

セラフィナの顔は青く、ルカヴィスと城を何度も交互に見た。

ルカヴィスは騎士たちを下がらせ、それに従う騎士たちの姿にセラフィナの顔はさらに青くなった。

「冗談……じゃないのね?」

「ああ」

「だから、あんな変なこと、セフレとか、月三回とか……あり得ない……ごめん、私にはできない。私には愛妾になるなんて無理、絶対に無理」

セラフィナの目に涙が盛り上がり、まだ傍に停まっていた馬車の中に引き返そうとしたセラフィナをルカヴィスは引き留める。

「セラフィ、違う。愛妾なんかじゃない。俺の正妃に、たった一人の妃になってほしい」

「何を言っているの!? 私は貴族じゃないし、平民だし、それどころか親の顔も分からない孤児なのよ」

今度はルカヴィスが吃驚する番だった。

「セラフィ、何を言っているんだ?」

(……いや、そもそも、セラフィナは……知らないのか? まさか、こんなにデカデカと……)

「……セラフィ、自分の背中を見たことがないのか?」

「背中? 背中がどうしたの?」

(……嘘だろ? え、まさか俺の見間違いか⁉)

キョトンとしているセラフィナに、ルカヴィスは焦りが募る。

「何を言っているんだ!」

「え? な、何? 本当に酔っ払っているの、情緒不安定過ぎ……「俺の情緒なんてどうでもいい!」」

「……いや、どうでもよくないでしょう。あなたは仮に王子様……」

「確かに俺は王子だが、君だって◆◎▽★♪@∇☆■じゃないか! ……は?」

『神の愛し子』。

確かにルカヴィスはそう口にしたのに、聞こえてきたのは意味をなさない異音で――次の瞬間、ルカヴィスの視界が大きく揺れた。

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